本講演会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催延期も検討されていたが、お申込みいただいている方々から「開催するのであれば参加したい」という熱心な声に勇気づけられ、あえて開催を決定した。こうした状況の中でも当日ご参加いただいた皆さまに感謝申し上げるとともに、以下にて本講演会の一部をご紹介したい。 (スピーカーの一人である鄭 偉氏は、コロナ対応の諸事情により、やむなく日本からの渡航を断念し、オンラインでの参加となった)
本講演会にはサイコム・ブレインズの「海外赴任前研修」の人気講師として、これまで5000人以上の日本人赴任者を指導してきた鄭 偉氏にもオンラインでご登壇いただいた。海外に進出する日系企業の先行事例として、中国における日系企業の経営現地化について語られた内容の一部をご紹介したい。
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中国における日系企業の経営現地化は、コンプライアンスの問題を抱えながらも、かなり進んでいる。それでも異文化の壁は根強く、異文化が業務の遂行に弊害をもたらしている。特に「数年で交代してしまうトップとどのように関係を築けば良いか」「トップ交代とともに変わる方針に、どのように対応すれば良いのか」と苦慮している現地スタッフは多い。こうした課題を乗り越えて、Z世代を含めた経営現地化をスムーズに進めるためには、日本人赴任者と現地社員の役割分担について明示した上で、各社員にキャリアパスを示しながら業務をアサインしていくことが重要だ。 加えて、市場を見ると、Industry4.0推進に必須となるAIやロボットといった最先端ビジネスは中国にあり、IoTでも中国が世界をリードしている。そのため日系企業であれ、その他の外資企業であれ、いま中国から完全に撤退するという選択肢はないだろう。しかし、当の中国企業は人件費や運営コストが中国国内よりも安く、環境に関する行政指導も緩い場所を近隣諸国の中から見つけ、そこへ拠点を移し始めている。中国企業はこうした意思決定が非常に早く、ドラスティックに対応する。こうした状況を前に、日系企業は今後、どのような戦略を立て、実行するのか、実行のための組織マネジメントと意思決定のスピードが、成長と衰退の分かれ目となるだろう。 |
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