- 西田 忠康サイコム・ブレインズ株式会社
ファウンダー 代表取締役社長
- 小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント
レポート
2018.12.10
「あなたは一体何者なのか?」と、他人から正面切って問われたとき、明快な言葉で即答できる人はどれくらいいるのだろうか。自己を形成する本質は何か。譲れない価値観か、大切にしたい信条か…。
『Leadership Journey in Mongolia』は、「あなたは一体何者なのか?」という問いに、自ら答えを見出すための、まさに『旅』であった。「他人をリードする前に、まずは自分をリードする」。そのために、ゆるぎない自己を確立する必要がある。一貫した判断軸、共感できる価値観がなければ、フォロワーはついてこず、リーダーシップは成立しないからだ。
旅のクライマックスは、モンゴルの丘の巨石に登ってのリーダーシップ宣言。自分が大切にしたい軸は、『プロフェッショナリズム』であると確信した。仲間からのフィードバックをもとに考え抜き、言葉として紡ぎだした自分なりの『プロフェッショナルの定義』に力を込めた。そして、プロへのこだわりの先におぼろげながら見ていたビジョン。その実現を覚悟を決めて宣言した。モンゴルの雄大な景色を眼下に望みながら、清々しい気持ちに包まれた。
しかしながら、プロフェッショナルへのこだわりという軸にたどり着くまでには、痛みをともなう内省もあった。新卒で入社し、長年勤めた会社を去ることになったこと。憧れて飛び込んだコンサルティング業界で疲れ果てたこと…。自己開示しながら、『敗北感』という言葉が口をついて出た。しかし、私は一体、何に負けたというのだろうか。勝ち負けを分かつものは何なのか。仲間の問いかけとも自問ともつかぬ声がぐるぐると頭をめぐる中、旅の伴走者である八木氏の言葉で目が覚めた。
「自分の過去に自分で落とし前をつけよ。起きた出来事を総括して、前に踏み出す意義を見出せ。そうすれば、『敗北感』などという言葉は出ないはず。精一杯やったと思えるなら、結果はともあれ『これでいいのだ』と思えるのではないか。ビジネスの世界では、結果は他人が評価するかもしれない。しかし、プロセスを評価できるのは、あなた自身ではないか」
八木氏の後押しを得て、翌朝早くゲルを抜け出し、リーダーシップ宣言を一気にまとめた。マイナス10度を下回る、痛いほどの寒気の中、震える手を押さえつけながら書きなぐったのは、決して自己満足的なパフォーマンスではなかったと思う。モンゴルの『場の力』を借りて、私の宣言をまとめたかったからだ。
そうしてまとめた自身のリーダーシップ宣言は、現時点の自分が描ける精一杯を盛り込んだ、満足できるものとなった。また、仲間のリーダーシップ宣言も、いずれも素晴らしいものだった。自身と同じく、苦しみながら言葉を練り上げた、そのプロセスを間近にみているだけに、感動もひとしおだった。Leadership Journey in Mongoliaは、自身の記憶に刻まれる研修体験の一つとなった。
西田 忠康Tadayasu Nishidaサイコム・ブレインズ株式会社
ファウンダー 代表取締役社長
早稲田大学政治経済学部卒業、マサチューセッツ工科大学(MIT) スローン経営大学院経営学修士。
1985年、NTTに民営化1期生として入社。資金調達、IR、海外事業投資に携わる。1996年、自らのMBA留学での実体験を基に、膨大な費用と時間を費やさずに社会人がMBAの内容を学べる仕組みを作りたいという思いからサイコム・インターナショナル(現サイコム・ブレインズ)を設立。ハーバードのケースを英語で議論するスクールの開校を皮切りに、2003年にはMITスローン経営大学院と共同で技術系経営リーダー育成のためのMOTプログラムを創設。その後、アジア事業の中核人材育成のための事業拠点及び指導者のネットワーク作りに努力し、タイとインドネシアでは有力ビジネススクールとも提携。起業して20年を経過し、従来のグローバルな事業軸に加えて、ICTや教育ビッグデータの活用による企業教育の変革や、ダイバシティ・マネジメント支援等、人と組織に新たな成長空間を創るべく事業を展開。2019年1月 日本MIT会の会長に就任。訳書にデボラ・アンコナ教授他著『分散型リーダーシップの実践 Xチーム』(ファーストプレス)。地理への興味に由来する旅行好きで仕事とプライベートを合わせれば40カ国以上を訪問。
小西 功二Koji Konishiサイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター /
シニアコンサルタント
神戸大学文学部卒業、名古屋商科大学大学院MBA。中小企業診断士。
前職では自動車メーカーのコンサルティングファームにて、系列ディーラーの経営改⾰を⽀援。販売台数の増加、利益拡大、赤字経営からの脱却、後継者育成など幅広い支援業務に携わる。2013年、サイコム・ブレイ ンズ入社。顧客企業のパフォーマンスが向上し、「社員が元気になる」様な研修プログラムの開発・提供に力を注いでおり、人や組織がよりよく変化していく事を体感できることが最大のモチベーション。大阪府堺市出身、趣味は映画鑑賞と車の運転。年に一度は10日間の一人旅に出ている。
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