去る2020年6月23日にサイコム・ブレインズUBCLでは「日本人のための異文化理解と適応トレーニング『タイ人の価値観理解とマネジメント』公開講座」をバンコク市内で開催しました。コロナ禍を受けて3月から開催延期を続けていた本講座ですが、お申込みいただいている方々から「開催するのであれば、ぜひ参加したい」という熱心な声をいただき、会場関係者、講師、参加者のみなさまのご協力の下、病院の専門家のアドバイスを受けながら会場の動線や机の配置など、安全面に配慮しつつ、6月23日に「withコロナ」の環境下で開催することができました。
演習に取り組むことで、6次元モデルへの理解を深めてゆきます
データを見ながら「なぜ」と「どうすべきか」を議論します
本講座では、前半でタイの国民文化を形成する地理・歴史・宗教・教育などについて学んだ後、国民文化について、すなわち“タイ人との文化的価値観の違い”を分析する際の指針となるフレームワーク(ホフステードの6次元モデル)を学びます。ホフステードの6次元モデルとは、異文化・組織文化研究の権威であるオランダの社会組織人類者ヘールト・ホフステード博士が、IBMの社員(72か国・11万 6千人)を対象に行った調査、およびその後の長年の研究により確立した理論です。ホフステード博士の研究によって、世界で初めて国別の文化の違い(国民文化の違い)を6つの次元で相対的に比較できるようになりました。それまで自身の経験や見識、憶測等で感覚的に、あるいは場当たり的に対処せざるを得なかった文化的価値観の違いを数値で可視化することによって、自国と他国の物事の捉え方、考え方の差を相対的・客観的に認識できるようになります。これが国境を超えたビジネスを行う際の異文化マネジメントの指針として世界中の多くの企業で活用されている所以です。
本講座で6次元モデルをある程度理解すれば、ビジネスの現場で直面するであろう問題を事前に予測したり、問題に対してより適切に対処できるようになり、ひいてはタイ人社員とより良いコミュニケーションと信頼関係に基づく人間関係を構築するために、明日から何をすれば良いか、何をすべきかが見えるようになります。
当日は午前中にまず「文化とは何か?」を改めて正しく理解したうえで「異文化理解がビジネスにおいてなぜ重要なのか」を講師や他の参加者とのディスカッションを通じて押さえた後、タイの国民文化を形成する地理・歴史・宗教・教育などについて学びます。その後、事例や演習を通じて6次元モデルについて学びます。午後になると各自事前に受診したオンライン異文化診断の結果レポートが配られ、レポートが示す自身の数値とタイと日本の平均値を見比べつつ、演習やグループワーク、事例分析を通じて、6次元モデルを自身の職場で使えるスキルとして習得してゆきます。このように、多様な業界・業種からの参加者同士で事例を分析するのも、自身のマネジメントスタイルについて客観視し、気付きを得る貴重な時間です。
午後のセッションの後半では学んだ知識を振り返りながら、参加者が日ごろから抱いていた様々な疑問や課題が共有されました。講師はタイ人とのコミュニケーションにおいて気を付けた方が良い点、業務の進め方、評価のフィードバックの仕方などについて、異文化マネジメントに関する専門知識と講師自身の経験に基いて、丁寧に解説やアドバイスを提供してゆきます。セッションの最後には、タイ人社員をいかにマネジメントしてゆくか、タイ人の価値観を意識しながらどのように組織をマネジメントゆけばよいかなどについて、多くの気づきを得ながら今後のアクションプランを検討して、セッションは終了しました。
新型コロナウイルスがもたらした世界規模の経済危機の中、赴任者はタイ人社員からの様々な相談やトラブルに対処しなければなりません。 「リモートワーク化でどのような問題が潜んでいるのか・・・部下のモチベーションは大丈夫か。きちんと仕事をしているのだろうか。」といったことをより正しく把握し、適切に対処するためにも、ホフステードの6次元モデルが有効な手がかりになります。くわえて、文化的価値観の違いに起因するトラブルへの対処に苦慮したり、イライラや戸惑い、不安やストレスを感じたり、感情的になったり、コミュニケーションを敬遠しがちといったことに思い当たるようなら、6次元モデルを使って状況を分析し、対策を立てることを習慣化することによって適切に対処することができるようになるでしょう。本講座で学べる「異文化理解と適応」の基礎をタイ人社員との日々のやり取りのなかで実践することによって、コミュニケーションの質と量の向上、ひいては社員のエンゲージメント向上といった成果に繋げていただきたいと思います。
以下、当日実施したアンケートで頂戴した受講者の声(抜粋)をご紹介します。
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