
- 西田 忠康サイコム・ブレインズ株式会社
代表取締役社長
座談会
2017.03.22
増田 佳正 氏
(武田薬品工業株式会社
エンタープライズ・アーキテクチャー 担当マネージャー)
芳賀 恒之 氏
(日本電信電話株式会社 NTT先端集積デバイス研究所 所長)
富士フイルムに関しては、ハーバードビジネススクールが出しているケーススタディがあって、サイコム・ブレインズの研修でも使用することがあります。化粧品の事業に本格的に参入したのが確か2008年で、富士フイルムは当時としては最高益だったんですよね。最高益のときに大きく舵を切った、その判断とスピード感ははすごいなと思います。
もう一つ思うのは、「本当に強いもの」ってどこか感覚的というか、「ちゃんと定義することが難しいんだけど、みんながそれを信じているもの」だと思うんですよね。富士フイルムさんの場合であれば、「なんとなく薄いものに強いんですよ」とか、スリーエムさんであれば「とにかく何かを磨くものが強いんです」みたいな感じで。
特に歴史のある大企業になると、もっと長期的な視点で何をやっていくかべきか、ということを考える必要があると思います。皆さんの会社はとても歴史が長い。日本ゼオンは60年、NTTは戦後にできたとはいえ戦前から続く歴史がある。東芝は100年、武田薬品さんに至っては200年以上続いています。問題はその中で何を強みとして、変化に対応していくかということです。
IBMの場合、100年の歴史の中で技術は変化しているけど、焦点は変わらず同じ。それは、政府とか大企業といった「大きな組織のデータ処理のソリューションを作ること」です。最初はパンチカードの機械。今はコンピュータ。でもそれ以外の分野、たとえばコンシューマー向けのPCでは失敗しています。今は少しビジネスが小さくなったけど、強みは変わらず同じです。
強みがあまりはっきりしていない会社は心配です。歴史が長いだけに様々な分野に入っていく。その過程でフォーカスがなくなる。部品とかを作っている会社は一番心配。中国、東南アジア、韓国、そしてこれからはインドの会社とのコスト競争が激しくなるからです。
豊嶋 哲也 氏
(日本ゼオン株式会社 執行役員 高機能樹脂・部材事業部 事業部長)