
- 小西 功二サイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター / シニアコンサルタント
コラム
2020.02.10
今回の実践によって、双方向性の高い内容が求められるトレーニングにおいても、プログラムや運営面での工夫をすることで、リアルな集合研修と比べても遜色のない結果をVCRでも得ることができる、ということがわかりました。では、今後VCRは集合研修にとって代わるのでしょうか?
私個人は、「そうはならない」と考えています。冒頭で述べたビジネス環境の潮流を鑑みると、VCRのようなトレーニング手法は今後増えていくのは間違いないと考えます。一方で、VCRではどうしても実現できない領域があるのも事実です。フェイス・トゥ・フェイスのやり取りから生まれる一体感や高揚感、より密なコミュニケーションによる深い内省などの領域では、集合研修に軍配が上がります。
しかしながら、VCRの持つ可能性は無視できません。それは、集合研修のように詰込み型になりがちな「点」の学習、単発的な学習を、一定期間にわたる「面」の学習、いわば「期間学習」に転換できる可能性です。ビジネス上のトレーニングの最終ゴールは、知識やスキルが受講者に定着し、実ビジネスで活用され、パフォーマンスが上がることです。知識やスキルの定着を考慮すると、この期間学習の効果は論を待ちません。今後は、集合研修とVCRのすみ分け、あるいは組み合わせが、学習効果の最大化のポイントになるかもしれません。たとえば、On the Job Training =OJTにITを用いて、一部をOff-JT化することで、さらに効果と効率を高める。あるいは映像視聴とセットにした集合研修を行った後、複数回のVCRを頻度高く実施し、最後にもう一度リアルな集合研修で気づきや内省を深める。今回のVCRの実践を通して、今後そのような形の学び方が増えていく可能性を強く感じました。
小西 功二Koji Konishiサイコム・ブレインズ株式会社
ディレクター /
シニアコンサルタント
神戸大学文学部卒業、名古屋商科大学大学院MBA。中小企業診断士。
前職では自動車メーカーのコンサルティングファームにて、系列ディーラーの経営改⾰を⽀援。販売台数の増加、利益拡大、赤字経営からの脱却、後継者育成など幅広い支援業務に携わる。2013年、サイコム・ブレイ ンズ入社。顧客企業のパフォーマンスが向上し、「社員が元気になる」様な研修プログラムの開発・提供に力を注いでおり、人や組織がよりよく変化していく事を体感できることが最大のモチベーション。大阪府堺市出身、趣味は映画鑑賞と車の運転。年に一度は10日間の一人旅に出ている。

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