2018年3月20日(火)に開催済みのイベントです。
サイコム・ブレインズでは、去る2018年3月20日(火)に「グローバルビジネスで活躍する人材を育成/強化するためのプログラム体験会~異文化理解と適応 & ビジネス英語トレーニング編」を開催しました。
当社では、グローバルなビジネスの環境で活躍する人材に求められる能力要件のうち、特に大切なものを「コミュニケーション力」、「高い専門性」、「異文化への適応力」の3つと定義しています。そして今回の体験会では、「コミュニケーション力」と「異文化への適応力」を効果的に高めるプログラムの一部を2部構成でご体験いただくとともに、両プログラムを効果的に組み合わせたカリキュラムをご紹介しました。
当日実施したアンケートで当体験会への参加動機をお伺いしたところ、「異文化マネジメントについて知りたかった」、「オフィスに外国人がいる」という方が8割超でした。こうした点からも、国を超えて仕事をする環境が非常に身近なものになってきているといえます。当ページでは、異文化環境でビジネスを遂行する人が備えるべき能力要件とその能力を強化するための施策や事例について、時間の関係で当日ご紹介しきれなかった点も含めてご紹介します。
外国の人たちと仕事をして、戸惑ったり、イライラしたりした経験はありませんか?それらを解決するために「語学力」のみを磨いても解消するとは限りません。私たちは誰もが無意識のうちに生まれた国の文化の影響を受け、自身の価値観をベースに物事を判断し、コミュニケーションをとっています。日本と他の国の文化的な価値観の違いを読み解き、根本にある相手の感情や行動の意図を推し量るスキルと知識(=異文化マネジメント力)を身に付けることが必要です。そして、この「異文化マネジメント力」を身に付けるには、業界の専門知識や語学力を身に付けるように、専門的な勉強や訓練が必要です。専門的な訓練という意味で、弊社の異文化マネジメントプログラムでは特に、これまで漠然とした感覚や経験をベースに語られていた価値観の違いを、きちんとした実証研究に基づく客観的な数値で解説できる「ホフステードの6次元モデル」というフレームワーク(後述)と 異文化適応のためのオンライン・アセスメント「Culture Compass」を使って、自分自身と自国、相手国の3者の価値観の差異がもたらす「意味」を読み取れるようにトレーニングしています。この「意味」を読み取る能力こそ異文化マネジメント力の土台となる基礎力であり、その基礎力によって価値観の違いを理解したコミュニケーションを取ることができるようになります。
さて、「ヘールト・ホフステード」あるいは「6次元モデル」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。ヘールト・ホフステード博士は1928年生まれのオランダ人で、「文化と経営の父」と呼ばれています。「文化」というきわめて曖昧な対象を徹底的に研究しモデル化した、異文化、組織文化の世界的なパイオニアです。そして、ホフステード博士が世界で初めて国別の文化の違い(国民文化の違い)を相対的に比較できるようスコア化したのが「6次元モデル」です。6次元モデルは、目に見えない、無意識のうちに私たちに埋め込まれた価値観の違いを視覚化し、国境を超えたビジネスを行う際のバイブル(指針)として世界中の多くの企業で活用されています。
当体験会の第一部では、実際に演習問題とミニケースを使って、6次元モデルを活用して「異文化環境を読み解く」という体験をしていただきました。ホフステード博士の分析によると、日本は世界中のどこの文化圏にも属さない特殊な価値観のパターンを持つ国です。であればこそ、語学力とコミュニケーションの知識とスキルを身につけ、かつ、文化的特徴や価値観の違いとそれがもたらす影響に注意を払う必要があります。ホフステード理論を短時間で完璧に理解することは簡単ではありませんが、ぜひ皆様のビジネスの現場で活用いただきたいと思います。
「ゲームのルールを知らなければゲームに勝つことはできない」などと表現されることもありますが、異文化におけるコミュニケーションもまた、知識やスキルがなければ効果的に行うことは困難です。この奥深いテーマについて、非常に基本的なワークを用いながら「英語を用いたビジネスコミュニケーションの基礎プログラム」の一部をご体験いただきました。
例えば、ビジネスで非常に大切な初めての面談での挨拶や自己紹介の仕方ひとつをとっても手の握り方やアイコンタクトの弱さで自信がない人だと思われてポジティブな印象をもってもらえない、あるいはEメールを英語に正確に翻訳するだけでは意図が伝わらない、などの問題をよく聞きます。これらは英語力がないせいだと思われがちですが、実はこれまでの学校での英語の教育やテスト対策では得られなかったビジネスでの英語コミュニケーションの型や秘訣を知らないことに起因します。そうした型や秘訣の習得には、文化的な価値観や背景への理解が不可欠であり、ただ英語を流暢に話せるだけでは十分ではないのです。よく挙げられるエピソードですが、例えばアメリカ人だけのミーティングであればオープンな意見交換の場として自然に会議は進みますが、何も言わなくてもどんどん発言するアメリカ人やインド人と、積極的に発言せず自分の意見を言わない傾向のあるタイ人や日本人がいた場合、会議はアメリカ人やインド人からの発言のみで進んでしまうため、全員が納得する結論に至らない、意見に多様性が見られないといったケースが多くあります。もちろん同じ国のメンバーによる会議であってもこうした現象は見られますが、多国籍なメンバーであれば、より配慮が必要になります。さらにいうと、アジアの国の人々が参加する会議では、年長者や役職が上の人の発言を尊重するなどの配慮も欠かせません。つまり、英語でファシリテーションするスキルに加えて、文化的な背景を考慮した進行や働きかけがとても重要だということです。
最後に、今回の体験会では時間的な制約から十分なご説明の時間を割くことができませんでしたが、両プログラムを効果的に組み合わせたカリキュラム例をご紹介します。
1日目 |
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2日目 |
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今回の体験会では、グローバルな環境で高いパフォーマンスを発揮するためには、ホフステードの「6次元モデル」による国民文化の理解と自分自身の価値観の把握をふまえた上で、真の英語のビジネスコミュニケーションスキルを活用することが、グローバルコミュニケーターへの道であることを体感していただきました。今後とも、世界を相手に事業を展開する貴社の人材育成施策検討の相談相手として、弊社をご活用いただければ幸いです。
次回イベントのご案内6月14日(木)に、横浜市立大学の大西教授をお迎えし「アセアン地域における異文化理解とマネジメント」をテーマにした勉強会を開催します。お申込みはこちら>
お気軽にお問い合わせください。担当:地紙(じがみ)/乙黒(おとぐろ)
私たちは自分たちも知らないうちに価値観というものを身に付けてしまっています。ゆえに、自分たちの言動の理由を異なる文化の人たちに理解してもらうことはとても難しいことです。ここでとても役に立つ優れたツールとしてホフステード博士の「6次元モデル」をベースに開発された「Culture Compass」と呼ばれるオンラインツールがあります。
<診断結果レポート(サンプル)>
当ツールは自身の文化的価値観の傾向と、母国/関心のある国(赴任先や取引先の国など)の価値観の傾向を比較した診断レポートを提供してくれます。価値観の違いによって起こりうる問題を事前に把握することができ、スタッフや取引先、顧客などとビジネスでより良い関係を構築する手がかりを得ることができます。また、社内のコミュニケーションの改善やチームワークの向上といった課題の解決にも活用されています。
<診断結果レポート(サンプル)>
受講者が身に付ける/向上させるべき英語運用力を認識する。また英語学習の手法に関する様々な知識を得たうえで、自分のための学習計画を立てる。計画表を提出することで、学習に対する納得感と主体性をもって、効率的に学習に取り組む環境を整える。
英語ビジネスコミュニケーションに関連した知識とスキルをオンラインでインプットする。1クリップ10分程度なので、必要な箇所を何度も繰り返し視聴しやすく、実務で使える知識とスキルを着実に身に付ける。
映像で学んだ知識が正しくインプットされているか、学習の進捗や習熟度を確認する。学んだ知識をアウトプットしたりフィードバックを受ける場を設け、受講者の自己学習へのモチベーションの維持/継続を支援する。学習の事前・事後の成長を把握する。
学んできた知識やスキルをアウトプットする。より多くのアウトプット経験を積むことで知識とスキルは定着し、できていること、更にトレーニングが必要なポイントを明確にすることで学習へのモチベーションを高める。
例えば複数の受講者と講師、外国人のディスカッションパートナーを交えた電話会議を行い、これまでに習得した知識やスキルを実際に活用する練習を行い、定着をはかる。将来の様々なビジネスシーンに応じたより的確な/スムーズな対応、もしくは目的を達成するためのコミュニケーションスキルの習得を目指す。